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『STARLIKE』レビュー

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 道化屋です。
 珍しいことに他サークル様の作品紹介をします。
 えー、普段レビューをしないのは手に取るソフトの大半がご同業、つまりノベルやADVがメインだからです。
 どの作品もプレイ後は自分なりに分析を重ねており、時々それらをレビューとして投稿しようかなーと考えはするものの、書いている間に「他人様のことより自分が頑張れよ」的な気分に陥ってしまうので避けております。
 しかし、今回はゲーム要素も多分に含むということで例外!
 もっと知られて欲しいなーということで微力ながら、当サークルでも紹介。
 取り上げさせて頂くのは、鉄鋼団さんの『STARLIKE』
 ハイ、先日のどげざで知ってプレイしたクチです。
 製作者目線だからこその評価、という点もままありますが、よろしければお付き合いを。
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 戦争の熱も冷めやらぬ、ある国にて。
 酒に溺れる父に代わり家計を支える勤労少女『来宮節子』はある日、一匹のハムスタアを拾う。
 こっそりとハムスタアを飼い始める節子だったが、すぐに父の知るところとなってしまう。
 その際、節子は自分が生まれた『来宮』の家が代々『星工』という、ハムスタアを鍛え戦わせる調教師の如き仕事を生業にしてきたことを知る。
 かつて星工として名を馳せたという父は、彼女のハムスタアをろくに鍛えもせぬまま、余興仕合の引き立て役として売り飛ばしてしまう。
 その時、節子は……?
 
 ゲームの内容そのものは、ざっくり言ってしまえば、自分のハムスタアを鍛えて各話終盤に発生するライバルたちとのバトルを乗り切っていく育成シュミレーションゲーム……なのですが!
 
 驚くべきは、その丁寧な作り込み。
 木っ端とはいえ同人ソフトを作っている身として戦慄せざるを得ない。
 てなわけで私なりにご紹介。
 
○シナリオ
 第二次世界大戦後の日本を思わせる、けれども日本とは全く違うファンタジー世界が舞台です。
 次々に降りかかる難題に、セッちゃんとハムスタアが立ち向かっていく様はまさに王道。
 ベタといえばベタなんですが、落とすところはキッチリ落としてくるのでご都合主義感もあまりなく素直に読み進められます。
 注意すべきは、序盤に限っては雰囲気が物凄く重苦しいということ。第一話の時点では他の登場人物――周囲の大人たちからは得体の知れなさ、高圧的な怖さしか感じられません。子供が見知らぬ大人に感じる恐怖をうまく体現しているとも言えます。
 しかし話が進むにつれて、彼らが非常に味わい深い人物であることが明らかになっていきます。実際は茶目っ気のあるダメ人間ばっかり。愛着すら沸いてきます。自分勝手な大人たちに振り回されつつも持ち前の純真さで真っ直ぐに育っていくセッちゃんが微笑ましいことこの上ない。
 あ、美那さん好きです。なんだ、やっぱり毒を隠し持ってる女性が好きなのか自分。
 加えて、人間視点の他ににもハムスタア視点のお話も存在するのですが、こちらも……むしろこっちが面白い。ギャグ漫画か!
 話が進むごとにはっちゃけっていきますね。特に五話がひどい(ほめ言葉)。柴様が最初の一言を発した瞬間、固まりましたよ。MYハムスタアもセッちゃんの知らない間にちゃっかり○○卒業してたりするし…。
 
 これにも言及しておかねばなりませんが、この作品で唯一相性が悪かったのが縦書きモード。
 上記の通り、シナリオは大きく人間パートとハムスタアパートに分かれており、人間パートは縦書き、ハムスタアパートは横書きで展開されるのですが、縦書きモードだと目が滑る?感じがして当初は話に入り込めませんでした。
 文体が合わないからなのか――とも思いましたがハムスタアパートは楽しく読めるので縦書きのせいかなとアタリをつけて色々試行錯誤。
 結論から述べると、ウェイトなしで文字表示にすることで、ある程度解決しました。
 原因は、普段小説を読む際に一文字ずつではなくブロック単位で把握しているため、縦書きの文字を一文字ずつ追っていくという行為に慣れていなかったこと。
 あと、おそらく解像度との兼ね合いから仕方ないことなのですが、一行あたりの文字数が縦書きにしてはかなり少なく、この場合文法に忠実に従うよりは漫画のフキダシのように区切りの良いところで改行を――む、ハムスタアの名前が可変だからそれも難しいのですか。悩ましや。
 
○グラフィック
 ひと目で「こいつは癖モノだ」と判る登場人物たちや、個性的なハムスタアたち。性格同様、きっちり描き分けがなされています。
 そういった大道具も良いのですが、とにかく目を引いたのは各素材パーツの丁寧さ!
 製作者目線のお話になります。
 自分で同人ソフトを作って初めて気づいたのですが、いわゆるシステム素材――小さなボタンやメッセージ枠などの、普段は意識しない、けれども土台を支える素材を真面目に作るのは本当に心底マジで手間なんです。
 STARLIKE、この点がまたスゴイ。手抜き一切なし。
 戦闘・育成パートの表示・演出、更にはお店のシーンに至るまで、使われている素材のひとつひとつが世界観にあわせて統一されるよう、考えてデザインされているのが分かります。
 ムムム……この作りこみ、どれだけ大変だったんだろう。仮にウチで同じ事をやろうと思ったら、多分素材の製作だけでスゴイ日数が吹っ飛ぶはず。
 割と大道具に注目しがちなのではないかと思うのですが、同人でここまで小道具をキッチリ作りこんでくるとは素晴らしい。
 
○システム
 うまく説明できません。やればわかります(放棄
 バトルに備えてハムスタアを育成していくわけですが、基本能力を上げる訓練メニューの他に特殊なエサ・投薬・神頼・武器などなど。作品の規模に対してここまでやるか、というレベルで色んな要素が突っ込まれています。
 戦闘はトランプをカードゲームのデッキのように見立てて行われます。配札と工夫次第で劣勢を覆すだけの戦略性もあります。
 総じて、けっこう複雑です。ボケっとプレイしていたせいか、ちゃんとシステムを把握するのに一周かかりました。
 てな理由もあり、一週目は素直にストーリー楽しむのに専念し、本格育成は二週目に譲るのをお勧めします。ある程度適当に進めた方がストーリー通りのギリギリの戦いが楽しめますし。
 これは個人的な要望ですが、ストーリーや演出ナシでかまわないのでもっと色んなハムスタアと仕合してみたいです。
 いち作品で終わらせるにはあまりにも勿体無いシステム……と、これは野暮というものですか。
 
○BGM・演出
 すげえ(思わず素
 まず耳を掴むのは各ボーカル曲。
 ハムスタアごとの入場曲や各戦闘シーンの曲はとにかく熱い! ぶっちゃけ卑怯! 流れた瞬間どうあってもテンション上がらざるを得ない!
 こういう野太い野郎の声で歌い上げられる熱い曲が好きなんだ…!
 加えて他のBGM群も素晴らしい。具体的にはお店シーンの怪しげな雰囲気が一発で判る曲や、MYハムスタアが挫折中&復活後の心理の表現とか!
 とにかく作品に合っています。この上なく合っています。BGMは曲そのものの完成度よりもどれだけ演出として機能しているかという点を重視してしかるべきなんですが、これが半端ない!
 それらのBGMを背に繰り広げられる演出は、王道にふさわしく奇をてらわぬ直球ド真ん中。演出だけやたら凝ったところで話が薄っぺらじゃあ逆に白けるものですが、そんなこともまったくなく。
 うーん……。
 今年のどげざの歌曲部門・BGM部門は、正直なところファタモルがズバ抜けすぎててほぼ確定レースだろうと決め込んで受賞配信を見ていたのですが、そうでもなかったんじゃないかなあ。
 少なくとも、私なら迷う。
 最終的な結論は変わらないかもしれませんが「他分野との相乗効果」という面から見れば、STARLIKEもズバ抜けてました。なぜコレがファタモルと同年にきた。
 いえホント、プレイ中も驚愕しっぱなしだったんですよね。文章と絵と音楽と画面効果の息の合いっぷりに「この統一のされ方は異常じゃないか?」と。
 案の定と申しますが、ざっとHPを拝見したところ、どうもゲーム自体はほぼ一人で作られている模様。
 鉄鋼団さんは総勢三名いらっしゃるようですが、ゲーム担当・ボーカル担当・ギター担当……偏りすぎじゃないですか!? いや活動目的がゲーム製作に限られていなければそーでもないんでしょうけど。
 これだけ凝ったゲームデザインまで一人でこなすとは。世界は広い。
 
○まとめ
 いやレビューってムズかしい。多分もうしない。しんどい。
 しかしコレはもっと有名になって欲しいな。なってしかるべきだよ、うん。闘犬ならぬ闘ハムスタアゲームに全力ぶっこみ過ぎですよ、ええ!
 プレイ後暫くWILL 'O' WISP 改Lovewarrior(若干ネタバレ注意)が作業BGMに。
 この作品を取り上げたのは、面白かったことに加え、作品から伝わってくる作者さんの創作に対する姿勢というか、こだわりというか、そういったものに同業として尊敬の念を抱いたからです。
 ウチが創作を行う上で、大事にしたいと思う要素を体現してる作品でした。
 つまりもっと頑張れ影法師……結局そこか。
 連載版がフリーで公開されていますので、是非どうぞ。鉄鋼団さんのホームページはこちら!
 ちなみに七話は八話でるまで待った方が良いかも。続き! 続きは!?
 
 
 あ、余談ですが自分の育成方針。
 画像はMYハムスタア皇星編終了間際。
 ステは基本肉(STR)極振りで進め、臨死応戦後に多少の余裕を持たせる為に後半は運にも若干。星札強化は諦める代わりにドーピングも控えめ。武器はマチェーテ(瀕死時能力UP)一択で+5まで強化。 
 つまるところ『臨死応戦後の逆転に賭ける』ステエタスです(マチェーテの臨死応戦後の扱いは不明ですけども)
 五話の戦闘で、ほぼ負けが確定してたのに『攻+』の星札・連番四枚攻撃で逆転かませた時は昇天モノ。
 ただし最後の詰めで空振りしまくった挙句、結局負けたりもします……。

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